悟った
昨日の戸川純/ザ・スターリンのビデオを見て、その10歳下のコは、
「あんなんにカネ出してる人がいたなんて、バブってたんですね~」
と言っていた。
「その頃ってまだロックっていうのが未成熟な時代だったと思うんですよ。その時サザンは『BYE BYE MY LOVE』とか『メロディ』とか作ってたんでしょ? そう考えるとサザンの凄さが際立ちますね」
だそうだ。
「バブってた」の「バブ」っていうのはもちろん「バブる」ね。
で、このあたりで私は
「あ......」
と。なんか、ちょっと悟りました。
いや、考えてみれば当たり前のことなんだけど。
やっぱり、時代の空気というのを伝えることは難しいんだよね。
この「バブってる」という言葉にはそれが凝縮されているような気がする。
彼らにとって「バブル」というのは体験ではなく歴史用語に過ぎない。それがいつごろのものだったかというのも、あまりわかっていない。漠然と80年代全部がバブルだというくらいの認識だったり。
まあ本人たちも単に過去の、「そんなもんにカネ使うかよ?」というようなことに対して最後に「(笑)」をつけて使っているのだとは思うが、じゃあちゃんといつからいつまでがバブルだか言えるのかといえば、やっぱり解ってないだろう。
いや、解ってないことが悪いということではない。
当たり前のことだ。
だって体験してないんだもん。
ほんと、当たり前のこと。
で、その当たり前のことを認識して、当たり前のことを悟ったのですよ。
何というか、リアルタイムで経験していない人にとって、やっぱり過去の作品は時代と切り離して、その作品だけで評価せざるを得ないんだよね。
ところが特にこの戸川純やザ・スターリンは時代性が強いというか、80年代のあの時代の空気なしには考えにくいわけで、私たちにとっては時代性を切り離した評価というのはあり得ないわけだ。
例えば今のコは「ソ連って何ですか?」とか、「西ドイツ??」とか普通に言うし、もし知ってても東西冷戦の緊張感なんて実感として解るはずないし。
で、そういう中でわざわざ「ザ・スターリン」という名前をつけた意味とか、彼らが「先天性労働者」で『共産党宣言』を歌ったときに観客が感じた空気とか、そんなのは伝わるはずがないのだ。
「YMOチルドレン」として戸川純が出てきた頃のニューウェーヴだとかパンクだとかテクノだとか歌謡曲だとかインディーズとか宝島(^O^)とかの微妙な位置関係だとかもそうだ。伝わるはずがない。
で、やっぱりこういうのはリアルタイムで経験した者だけの特権として胸に秘めておくべきなのかなあと。(^O^)
そういえば少し前にコメント欄で岡林信康について、ゆでめんさんに同じようなことを言ったところだった。
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>やはり70年代の若者だった自分とは決定的な差異を感じます。
一方で、今のミュージシャンがまっすぐな姿勢で演奏したら
結構「通じ」て「感じ」てくれたりするのではないだろうか、とも思ったり。
私はあの頃の岡林の歌は、「通じない」と思っています。 (略) そしてリスナーにとっても、正直言って、岡林のこの時代の歌がリアルに響くのは当時のゆでめんさんのような、「当時の若者」たちだけなのであって、彼らに「伝説」として響いても、価値はないと思うのです。 今の若者に通じさせる、などという妄想(^O^)は、抱かない方がいいと思います。 |
まさにこんな話をしておいて、しかし実感はしてなかったってことだ。
うん、時代の空気はは伝えられない。
そして、自分を振り返って、例えばGSなりフォークなりについて、私は同世代の人間に比べればかなり多くの知識を持っていると思うのだが、結局これは「今」という定点から過去という山を双眼鏡で観察しているようなもので、ある程度の輪郭を知ることはできても、実際にその山道を登った人のリアルな感覚はさっぱりわかってないのだよなあ、と。
これはね、ほんと、自分が「年下」ではなく、「年上」になって初めて実感できた感覚だ。
私は無根拠に、過去の音楽についてわかった気になってたもの。
同じように過去の「時代」も、なぜかわかった気になっていた。
でも結局、私も1984年を「バブル」と言ってしまうようなレベルだったんだと思う。
いやあ、ほんと、「なるほど」だ。(^O^)
音楽と時代は切り離すことは出来ないし、だとすればそれは時代を超えて伝えることはできない。
当たり前なのに、やっと解った。
......とすれば、もし時代の普遍性を持たせようとすれば、やっぱり愛だの恋だのを歌わんといかんのですかなあ。
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- きなこもち
本日のBGM:
さようなら世界夫人よ /頭脳警察
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